



本作は、アパルトヘイト政策下の南アフリカで育ったティム-ジェンキンの自伝『脱獄』(同時代社刊)を基に製作された実話。南アフリカ人のティムは、白人でありながらアパルトヘイトに反対するネルソン・マンデラ率いる組織「アフリカ民族会議(ANC)」の隠密作戦を行い、同胞のスティーブン・リーと共にテロリストとして 1978年にプレトリア刑務所に投獄された。最高警備を誇るプレトリア刑務所に収監後、ティム、スティーブンらは、アパルトヘイト政権に対し抵抗の明確なメッセージを送るために脱走を決意する。厳しい看守の目がある中、脱出の手段として無謀とも言える鍵の製作、綿密な観察、そして10の“鉄製”のドアを突破するための“木製”の鍵を駆使して、彼らは自由への道を歩み出す...。本作は、強い意志とスリルに満ちた逃亡劇であるだけではなく、抑圧された者達の闘争であり、すべての人の平等を追求するために立ち上がった2人の男の物語である。
近年、様々な役柄を演じてきたダニエル・ラドクリフが、「ハリー・ポッター」のイメージを払拭するかのように、武器を“杖”から“鍵”に変えて、実在する政治脱獄犯ティム・ジェンキンという難役を見事に演じきった。南アフリカにルーツを持つラドクリフは、今回、髭面できれいとは言い難い風貌で、セリフの少ないキャラクターを表情や仕草によって繊細に表現し、新たな境地にステップアップとなる作品となるだろう。共演にはNetflixドラマ「ザ・ダート モトリー・クルー自伝」のダニエル・ウェバー、「ハリー・ポッターと賢者の石」のイアン・ハート、今年映画化もされたオーストラリアドラマ「ミス・フィッシャーの殺人ミステリー」のネイサン・ペイジほか。監督は、新鋭フランシス・アナン。